俺様にとっての室池  その弐

俺様が本格的にバス釣りを始めたのが一昨年である。
去年は仕事をちゃんとしていたのでほとんど行っていない。
実は10年以上前にバスを釣ろうとこの室池に何度も通ったが
決まって途中からギル釣りに変わっていた。
一度バス釣りの本を買ったが
やたらカタカナだらけでプラグの名前や操り方が良く分からずに
捨て置いてしまった。
本を読まなかった俺様はラパラのミノーとクランクしか持っておらず
いつもそれを池のど真ん中に投げていた。
勿論一匹も釣れたためしはない。
だから俺様にとって室池とは「釣れない池」と刷り込まれていた。
特に日曜日の室池は壮絶だ。
数メーター置きに釣り人が並ぶ。

七月下旬の日曜日。
タッチーは嫁のミッキーと岡山まで
釣りに行っている。
きっと「40アップ50アップがウハウハや」状態かと
想像するに俺様の血管はドクドクする。
「岡山で良い思いしやがってっ!!!」(妄想)

で、
その日は夕方から時間が空いたので
「山に散歩に行こう」とトレーシーをだまし、室池に行く。
中堤に向かう途中デジカメを車中に忘れたことに気付く。
取りに戻ろうしたら
「 釣れへんから大丈夫」といつものようにトレーシーに止められる。
「絶対釣れる。直ぐ釣れる。もし、50アップが釣れたら
どうしてくれんね。みんな半信半疑や、信じてくれへん、
そうなったら七生祟ってやる」
俺様の説得でトレーシーが運動がてら車へ 取りに戻った。
戻っている間に小バスが一匹釣れてしまった。
「シマッタ、ギルを狙ったのに」
カメラが来るまでに釣れても仕方ないので
タッチーお薦めの「SANSUN」という匂い付きの極細ワームを
見えギルを狙って投げていた。
仕方なく捨ててある牛乳パックの中に水を入れてその中に泳がす。

トレーシーが戻ってきたので
流れの無い人工の流れ込みへ移る。
ここにはコンクリートで溝が掘ってある。
その溝辺りにバスが小魚を待ち受けているはずだ。
沖から段々と岸よりに投げるポイントを変えて行き2投目あたり
グッと引きが来た。先程と同じダウンショットにサンスンである。
上がって来たのは先程より少し形の良いヤツだ。
「もう30分経ったし、釣れたから、早よ帰ろ」
ここでタイムアップとなってしまった。
しかし先日のタッチーとの釣行と今回と
サイズは小さいが「この室池で」連続ヒットである。しかも日曜日。
少し室池に対する見方が変わって来たのは確かだ。
「トラウマが癒えた」とでも言えばいいのだろうか。
「シマウマが食えた。イーヒッヒ」
隣でトレーシーがいつものように俺様を楽しませようと
明るく言った。
今日は枚方で38度を記録した猛暑だ。
けっして寒くは無いと思うが少し寒気がした。

 



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