俺様が行く  第六話。  今年の早朝釣行異変

今年タッチーが早朝から行きたいと言った池で未だ良い思いをしていない俺様である。
前回はバスの居ない池で4時半から粘っていた。おまけに崖からも落ちているし
車のキーも落としている。
何だかろくな思いをしていない。

しかし今回は二年前の我等のホームグラウンド「倉橋ダム」である。外すはずが無い。
二年前、真夜中3時半頃、 暗闇でノイジーで釣り、薄暗くなってきた頃よりポッパー。朝日が昇ると
ノーシンカーワーム。これでかなり良い思いと良いサイズが釣れていた。
翌日のルアーローテーションのシュミレーションも絶好調である。
タッチーと俺様は午前二時半に大阪の自宅を後にした。
午前三時半、倉橋ダム到着。
護岸工事がかなり進んでいて、以前の地形とはまるで違う。
しかし流れ込みはそのままあり、期待に胸を膨らませる。
だけれど、
どこかに「タッチーが朝間詰から釣りたいと言った池」という一抹の不安はあった。

俺様はこのままノイジーですぐさま始めたかったが
タッチーが夜明け前に場を荒らしたくないと
言うので一応聞き入れて寝たふりをして待つ。
4時10分辺りが薄暗く明けてくる。
もう待てない。俺様は支度を始めた。
4時15分頃より釣り始める。
護岸が進んで、釣り易くなった分、すれているだろうと
暗いうちからポッパーを結び、アタリが来ないので
すぐさまワームに代えて少し落とし込む。
結局5時半まで粘るが全く反応なし。
タッチーはダウンショットで
手の平サイズの小バス一匹とギルを多数上げていた。

第二ラウンドは別のシャローからフローターでエントリー。
しかしここもギルばかりアタリ、肝心のバスが来ない。
一時間で諦める。
もう倉橋ダムも以前のように簡単に釣れるパラダイスではないようだ。
それとも腕が落ちたか・・・はたまた朝間詰の呪い??

そして、初挑戦の香芝市へと
未だ見ぬパラダイスを求めていくことにする。
一つ目の大きな溜池。
アオコにまみれたその池は生物反応有り。
しかし暑さで俺様は直ぐにリタイアー。
粘ったタッチーの話によると「流れ込みで沢山の鯉の子供を発見」とのこと。
二人して、飼っているバスのエサとなるザリガニ釣りに興じる。

第三ラウンドは、とある古墳の近く。神社の前にある小さな溜池。
で、ここで話は急展開を見せた。
余りにも小さな水の汚い溜池に期待せず車を止める。
すると池の立木でいきなりバスが跳ねた。
タッチーも俺様もにわかに期待が膨らむ。が、暑さと徹夜で目がくらむ。
とりあえずヘビーカバーだ。
なのに何も考えず。ワッキーの落とし込みをした。
いきなり木にひかかる。
仕方なく、ラインをぶちきる
ワームが池にボトンと落ちた。
その刹那ドデカイバスがラインの付いていないカットテールワームに
水面を割って出た。
何だかこの時、今日のバス運を全部使い切ったような気がした。
オマケに二投目は慎重に投げたつもりが、またひかかる。
嗚呼!! 俺様の「馬鹿、馬鹿っ!!」
俺様はグラブをオフセットで落とし込むことにした。
うまくポイントに落とせたが
バスは既に居ない。と、別のところでガバッと跳ねる。
「よしっ」と思った時だ。
お百姓さんがやって来て、釣っていたポイントにホースを投げ込み
ポンプで水をくみ上げだした。
「うーん、溜池だものね」
万事休す

小さな池の周囲を回り、「ここでデカイのが釣れたらどうやってランディングするのだろう?」
という場所でオーバーハングを再び狙う。
ピーカンだ。きっと影についているだろう。
しかし徹夜と暑さで頭が沸いていたせいか
スピニングできつい場所を狙っていた。
三投目くらいだろうか、いきなり大きなアタリを感じた。
これはデカイ。40前後はある。
潜られないように強引に引き寄せるが、引き抜くには竿もラインも軟弱すぎる。
おまけにバスの頭は立木にひかかって、水面から上に顔を出すことが出来ない。
いったん、ラインを慎重に緩め、立木の無い所へ泳がせる。そしてそこから
ラインを持ち引き抜くことにした。
もうラインブレイクしないことを祈るのみだ。
見た目、40センチ位あるバスがその全貌を見せた。
マス針だったら曲がっていただろう。太いオフセットの針に 代えていて良かった。
3メートルの高さを見事ランディングに成功。
ラインに感謝するケナゲな俺様。
暑さで頭が沸騰しながらタッチーに記念写真を撮ってもらう。
サイズは40に一歩足らず39センチ。
時刻は既に10時だった。
ピーカンバリバリ。
タッチーと俺様はぐったりとなりながら
家路へと辿った。

 
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