俺様が行く!! 「パチンコ屋裏の野池に大物出現」

俺様はもう頭がお化け話で パニクッて 脳みそが耳から流れ出そうだった。
つまらない夏の怪談話の本を去年に続き今年も引き受けてしまったからだ。
ひと月で百本も幽霊話を書く羽目になったのだ。

その日は寝ないまま朝の5時頃 ヨッシーと ルート163パチンコ屋裏の溜池へと行った。
ヨッシーを誘ったのは 決してお化けが怖いわけではない
釣りになかなか行けない奴が可哀想だったからだ
ヨッシーは五年間でまだ三匹しか釣っていない可愛そうなヤツだ。
俺様は先ずは900グラムのトラウトベイトを派手に投げ込んでやった。
俺様が来たと言う挨拶代わりだ。
今日は一日これで通すつもりだったが 三十分で筋肉痛が・・・
きっと俺様に釣られたくないバスの呪いだろう
呪いの為ルアーチェンジ
次にバズベイトをガンガンとキャストする俺様は美しい
しかし何故だ バス達がシカトを決め込んでやがる
俺様のルアーを見切るとは 上等じゃねーかと
俺様は逆上してしまいイキナリ ワッキー。
「しまった一匹釣ってしまった」
俺様は今日はこんな間抜けな30センチ足らずの コバッチーを釣りに来たのではない
俺様は「今日はトップとトラウトベイトで決めるぜ」と 相棒のヨシッーに豪語していたのに
これでは面目がたたねー
ヨッシーを見るといまだにポッパーで いまだにポコポコと水面を荒らしている
心意気は買うが、馬鹿だ
俺様はルアーをペンシルと900グラムのトラウトベイトに 再びチェンジした
すこし歩くと池の隅で壮絶なボイルがある。
「これはバスだ」 俺様のヘッドがスピンした
「おっちゃん、それ鯉やと思うで」 遠くの方でヨッシーが間の抜けたことを言う
「馬鹿め、鯉がこんなに闘争的な食い方をするか」
俺様は迷わずにルアーをラバージグに替えた
ラバージグにしたのは 水深が20センチ足らずのゴミ溜まりだからだ
そしてバスは水中のギルを狙っているからだ
幾種類ものカラーから慎重にこの池のカラーを選別 トレラーにはケイテックのものをかけた
俺様の選択は完璧だった
俺様は息を整えて激しくボイルを繰り返す水面へと みごとなピッチングでルアーを送り込んだ
一投必殺だ
チョンチョンという微妙な動きに直ぐには反応はなかった
しかし俺様には確信があった
この見事なさばきに食いつかないバスが いるであろうか(イヤいない)反語
すると突然激しい当たりが手元まで来た
ロッドは激しくしなった 手ごたえは十分だ
俺様はラインを巻き取ろうとしたが いまだかつてこんなに激しく抵抗されたことはない
俺様は久々の大物の予感に心踊った
しかし俺様の釣りは豪快だ 余計な遊びなどせずに 一気に引き抜くことにした
決して足元でかかったからではない 決してバレテしまうのが怖いわけでもない
持ち上げようとすると ミディアムのロッドが弓なりになり その重さに俺様も驚いた
これは50オーバーかもしれない その予感に俺様は少し舞い上がった
「よっしゃあ」 トップではなかったが これはなかなかのファイトであった
ここまで俺様を興奮させてくれた名勝負は 長い釣り人生でそうそうなかった
俺様はラインの先を見た

見事にでかかった ゆうに一キロ越えのガマ蛙がそこに居た。
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注*ヨッシー>>甥  **ガマ>>25センチ

 

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