その四
バス雑誌を読んでいて良く目にするのが
「バスのスイッチを入れる」と言うのがある。
正しくは、バスの食い気にスイッチを入れるであるが。
no3に書いたように、バスは音とフラッシングで
食欲が刺激されるようだ。

それに反して匂いはどうだろうか。
俺様自身もバークレイの匂い付きワームを良く使う。
最後の喰わせという部分で頼るところがある。
しかし、バスを飼っているとバスの嗅覚を疑う出来事が
多々ある。

餌付けの初めはクリル (乾燥エビ)をやるのだけれど
大抵のバスは、水面に落ちた瞬間に反応して食べるが、
落ちたことに気付かない場合は、
何時間浮いていても食べようとしない事が多い。
また底に沈んでも見向きもしない。

乾燥しているからか? とも思ったが、
これが生エビでもホトンド同じなのである。
水面で少しエビを漬けると
バスはエサだと反応して奪い取っていく。
しかし、うまく奪えないでそのまま底に落ちた時、
フォーリング中ならば反応して食べるが、
完全に着底してしまうと、滅多にそれを食べようとはしない。

そして、底に落ちたエサを何度も掃除さされるはめになる。
初めてバスを飼った時は
「このバスは鼻がイカレテいる」と思っていたが
何匹も飼っているうちに
「バスは大して鼻は利かない」
と思うようになった。

タバスコ漬けのワームで良く釣れるという話からも
ちゃんとした魚やエビの匂いに反応していないことが良く分かる。
しかし想像であるが、
生きた魚のウロコから発する匂いたっだったり
生きたザリガニの殻から発する匂いは切り身のものや
死んだ魚の匂いとは違うのかも知れない 。

一度実験で生きたミミズと
バークレイのミミズと同じ大きさの「マイクロクローラー」で
釣れ具合を試したことがある。
マイクロクローラーは匂い付である。
これはミミズの圧勝であった。
ダウンショットでの釣りだが、
同じようにユラユラと漂うならば
ミミズの匂いと食感が優位だったのだろう。

エビもユラユラと動かせば釣れるかもと、
試しに乾燥エビを水で戻して試したが、
こちらはギルの猛攻に遭った。
バスが喰い付くまでに喰われてしまい
実験にならなかった。

はっきりとした結論は導き出せないが、
生きていない魚の匂いやエビの匂いというもの自体に反応するとは考えにくい。
ミミズやタバスコ、ニンニク等のある特殊な匂いには反応する。
因みに遥か昔、ヘラブナの仕掛けであるサナギ粉に うどんでも良く釣れた。

これらを考えると バスはある系統の匂いに
食性が 反応するのであろう。
これらが水中の生き物の匂いに近いのか
単に強烈なのかは分からないけれど。

 

その伍
一度、庭に池を作ろうという
無謀な野望を持ったことがある。
前準備に大型の野外収納ケースを買ってきて
軒下でこれに水を張って準備をした。
そして、これに釣って来た20センチから35センチのバスを4匹入れてみた。

直ぐに危機は訪れた。
一週間くらいした頃、
35センチくらいのバスが25センチくらいのバスをハグハグし始めたのだ。
完全には食べないけれど、半分口に入れてはまた出す。
25センチの方の体にはダメージはないが
心にはダメージを受けたのか、隅で怯えている。
慌てて別の水槽に移した。

今まで熱帯魚を飼っていて
魚の捕食を何度も見てきたが、
尾から捕食しているのをこの時、はじめて見た。
普通は逃げ場を与えない為に頭から喰い付くものだ。

20センチから25センチのバスは池に帰して
35センチくらいのものを先ずは50アップに
育てようと考えた。

そして、一匹飼いの翌日。
バスは消えていた。
「????????????????」
跳ねて飛び出したのか?
とも思ったが、辺りにバスの姿がない。

「バス知らんか?」と
家族に尋ねると
「そう言えば、昨日猫がやたら庭で鳴いてたで」
と聞かされた。
「やられた・・・」である。

こうして家族に大反対されていた「池のある生活」は潰えた。
収納ケースは現在、収納ケースとして
その役割を全うしている。


index

 

 

inserted by FC2 system