実験くんが行く。  怖い話   

8月お盆の頃。
眠れないでいたので 久しぶりにテラ池へ。夜明けまでにはまだ一時間はある。
暗闇の阪奈道路を山へと登る。
道中の道で タヌキが轢かれて死んでいた(合掌)
車一台がようやく通れる山道をひた走り池ノ前へと出る。
まだ夜は明けていない。
暗い中 ひとりで階段を昇ると 池の前にある地蔵の前に何やら灯りが見える。
ぎょっとしてよく見ると ろうそくがチロチロと燃えていた。
こんな夜中に 山中に誰がロウソクをっ?!と思うと ぞーーーっとした。
この不思議な光景をデジカメで撮ろうとするが、電池が切れていた。

で、構わず対岸に行って釣りを・・・
結局スピナーベイトで一匹 まともなサイズ(40センチ足らず)をひっかけた。
しかしそれからルアーを二三回投げたら スピナーベイトだけぶっ飛んでいった。
引き抜いたときに ラインが弱っていたらしい。
それからSRミニを木に引っ掛けてしまい デルタを根がかりしてしまい、 計三つロスト。
地蔵の呪いか単なる不注意か・・・ まあ、下手なだけだろうけど。

9月新学期の日(関係ないけど)
今日は夕間詰を狙い、再びテラ池へとやって来た。
昼間はあれほど暑いのに山の中は秋のように涼しい。
時刻は五時を回っていた。
池には人っ子一人居ない。
先ずは池の対岸へと出向いた。
地蔵は相変わらず赤い帽子を被っていた。
今日はバークレーやエコギアのSANSUNと
ライブベイのミミズの実力テストをするつもりである。
でもとりあえずはハードルアーで普通に釣りたいと
色々と投げてみた。
無反応のうちに六時を過ぎてしまった。
暗くなるのが早くて、慌ててミミズをダウンショットで。
20分で当たりは無数。四匹釣り上げた。
次にバークレー。20分。匂いとアピール度ではこちらが上かと思いきや、
とたんに音無し・・・やっと一匹・・・
えらい違うもんだと辺りを見るともうかなり薄暗い。
ここは薄気味悪いので早目に帰る支度をしながらも、
デルタのスピナーベイトのブレードを
真っ赤に塗ったヤツを試してみる。
ここのバスは真上に落ちてきたら
グラブでもハードルアーでも口を使うけれど
横引きには反応がすこぶる悪い。
魚が跳ねたトコを何度か狙い投げ込んでいたら
小バスが喰い付いた。
うれしいようなツライような・・・・と気が付くと、
もうかなり暗い。
これでは赤いブレードがどうかなんて
分かるわけもなし。
とにかくこの池は昼でも不気味なので
慌て帰ろうとリュックを担ごうとするが、
地面の金網にリュックの紐が絡まり
なかかな取れない。
ふと地蔵を見るといつの間にかまた灯が見える・・・
いつの間に。。。
誰も居なかったし、来なかったが、気付かなかったのか?
理屈からすると気付かなかっただけなのだが。
リュックの紐を力任せに引っ張って慌てて担いだ。

ロッドを掴むと暗い細道を戻り、反対岸へと出る。途中、クモの巣を浴びてしまった。
地蔵の前を通る。
何となく薄気味悪いが、反対岸の反応も見てみたい。
地蔵から離れたところで、スピナーベイトを何度か投げ入れた。
ふと気がつくと本当にヤバイほど暗くなっていた。
ふと何気なくまた地蔵の方を振り向くと、
小さな人影が見えた。
えっ!? 冷や汗が出る。
もう一度見直すと、それは色の違う草むらだと分かった。
それが本当に子供のように白く浮かび上がっている。
何ものかの意志でその様に形作ったかのように。
ぞっとするも、何か切ない。時刻は7時を過ぎていた。
階段をゆっくりと降りた。
一番下まで降りた時、後ろが気になる。振り向き階段の上を見たくなった。。
しかし、どこかで振り向かない方が良いような気がする。
でも、振り向きたい。
その気持を抑えて、車に道具を仕舞い、さっさと運転席に乗り込んだ。
ドアを閉めようとするとドアに取り付けてあるゴムのパッキンのようなものが
何故か外れてしまった。
暗闇の中、仕方なく取り付け直して
やっと座席に着いてエンジンをかける。
ふとバックミラーを見ると・・・・気のせいか何か見えたような気もした。
車を発進させ、アクセル全開で坂道を登った。うるさいエンジン音とカーステレオの中、
どこかで「また遊んでね」と聞こえた気がする。

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*カメラでは明るく写っているが、真っ暗な中出たので、赤ブレードの意味もない。
                              バスの背で光っているのは何だろうか? ハレーションである。
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