実験くんが行く1  ギルの利用法

溜池は卵を抱えたバスの産卵巣が岸から1メートル沿いに点在していて、白く丸い巣の上を親バスが卵を守っている。浅瀬でバスは丸見えだがなかなか口を使ってくれない。
俺様は四月の中頃過ぎよりこのネストの親バス(オスが中心だが、メスと二匹で守っているのを多く見かける) を何度か狙ってみたが全く相手にされていなかった。
よく言われている「スティシーなどのロングビルミノーを巣の上に留めておいて、卵を狙っている外敵のふりをする」
こちらがルアーを留めている間、他の魚が侵入するとそちらへ猛然と体当たりして威嚇する。しかしスティシーは完全シカト。完璧見切ってやがる。見切られないスピードを試すが、生魚と動きが違うのか見切られる。このへんは今後の課題。。
次にイライラ作戦。ワームやチューブなどをネスト(巣)の上に置き、親バスがそれらを駆除しようと咥えてネストの外へつまみ出そうとするところを釣り上げる。もちろんどの方法でも、俺様は完璧姿を隠し、気配も消していた。奴等は足音一つ、竿先の影すら気付きやがる。
しかしやはり、ワームは異物だが排除しようとせず、無視を決め込まれてしまった。
きっとこれらの方法で何度か釣られているのだろう。サイズのでかいバスはそれなりに経験も積んでいる。

そして五月一日。産卵がまだの小バス相手にシャローで釣りをする俺様とヨーヘー、タッチーの三人。そのうちヨーヘーは早々と釣れないと車で昼寝を決め込んでしまった。タッチーは持ち前の釣り馬鹿ぶりを発揮して粘っている。俺様は・・・
俺様は諦めて、ブルーギルを釣って遊んでいた。
しかしそこは俺様だ。ボケたふりをしながらもネストのバスをじっと観察していたのだ。
ギルも10匹釣るといい加減飽きてくる。ネスト近くにギルを放り投げると猛然とバスが追い出しにかかった。
「これだっ!!」俺様のヘッドが三枚刃のように回転して閃いた。
ギルをもう一匹釣ると、ラインを口から尾の辺りに通して、フック(針)を付けた。所謂「鮎の友釣り」のような格好のギルの出来上がりである。
俺様はこいつをネストの上近くにポーンと放り込んでやった。ギルは面食らって慌ててネストの方へ潜ろうとする。すると間髪おかず黒い影が突然現れてギルの方へと猛然と襲った。
次の瞬間ロッドが激しくしなった。

俺様は反則技であるが、この池の激スレのデカバスに何とか一矢報いることが出来たのだ。
そして、昼寝をしていたヨーヘーに意気揚揚と高々とバスを持ち上げ自慢すると
「エサ釣りやん」と一言。
「ちがーーーーーーうっっっ!! 習性を利用した見事な作戦なんやっっ!!」
俺様の言葉に耳も傾けずヤツはまた寝てしまった。
悲しい・・・・
とりあえず、卵を必死に守っているお母さんを早くお家に帰した。

 


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